【2026年版】モニターアームを科研費で購入する全知識|消耗品/備品の境界線と「却下されない」理由書の書き方
最終更新: 2026年1月13日 | カテゴリ: 周辺機器・科研費実務
モニターアームは科研費で購入可能です。ただし、金額(単価10万円未満)と使用目的の記述には細心の注意が必要です。本記事を読めば、適切な費目(消耗品費)での処理方法がわかり、事務手続きの手戻りを防ぎ、最短で快適な研究環境を手に入れられます。
「論文とPDFを並べて表示したいからデュアルモニターにしたい」
「でもデスクが狭くてモニターが置けない…」
「そもそも科研費で買っていいの?事務に怒られない?」
そんな悩みを抱える研究者のために、本記事では科研費でモニターアームを購入する際の全知識を網羅的に解説します。
第1章:科研費ルールの基礎「消耗品」と「備品」の壁
公的研究費を用いて物品を購入する際、最初にして最大の分水嶺となるのが、その物品が会計上「消耗品」として扱われるか、「備品(設備)」として扱われるかという区分です。この区分は、単なる経理処理の違いにとどまらず、購入後の管理責任、棚卸しの頻度、廃棄時の手続き、さらには研究室の予算配分戦略にまで長期的な影響を及ぼします。
10万円の壁と耐用年数のルール
多くの大学において、物品購入の運命を分けるのは「単価10万円」のラインです。日本学術振興会(JSPS)のガイドラインおよび各研究機関の事務規定において、以下のように定義されています。
✓ 資産登録不要
✓ 管理シール不要
✓ 廃棄手続き簡便
✓ 研究室管理で完結
✗ 資産台帳に登録
✗ 管理シール貼付
✗ 毎年棚卸し対象
✗ 廃棄時に除却申請
※金額は税込で判定されることが多いです。大学により異なるため事務室に確認してください。
| 区分 | 条件 | 管理上の取り扱い |
|---|---|---|
| 設備等(備品) | 耐用年数1年以上 かつ 取得価格10万円以上 | 資産として管理、寄附行為扱い |
| 消耗品 | 耐用年数1年未満 または 取得価格10万円未満 | 資産登録対象外、研究室管理 |
モニターアームのような金属製品は、物理的には1年以上使用可能です。しかし、実務上の運用として「少額(10万円未満)であれば、便宜上消耗品として扱う」という解釈が一般的です。これは「少額重要資産」という概念に基づいています。
セット購入の落とし穴
ここで特に注意が必要なのが、モニターアームとモニター本体、あるいはPC本体を同時に購入する場合の「一式」の解釈です。
会計監査の観点からは、「それらが一体として機能し、不可分の関係にある場合」は合算金額で判定されるのが原則です。
PC(9万円)+モニター(3万円)+アーム(1.5万円)を同一伝票で購入 → 合計13.5万円で「備品」扱い
各製品を別伝票・別日で発注 → それぞれ「消耗品」として処理可能
本来一括で契約すべき案件を意図的に分割することは「分割発注」として監査で指摘される可能性があります。モニターアームは「既存設備の補修・拡張」「機能的に独立したツール」として、正当に個別発注できるケースが多いですが、判断に迷う場合は必ず事務室に事前相談してください。
第2章:事務局を一発で通過させる「購入理由書」テンプレート
多くの大学では、PC周辺機器の購入時に「購入理由書」の提出が求められます。ここで避けるべきは、「便利だから」「肩こりを防ぎたいから」といった、個人の福利厚生や主観的な利便性に終始する理由です。
NGワードとOKワードの境界線
| NG(却下されやすい) | OK(承認されやすい) |
|---|---|
| 肩こり解消、腰痛対策 | データ解析の効率化 |
| 快適な作業環境 | 論文執筆における参照資料の同時表示 |
| 見た目がスッキリする | 実験データのリアルタイムモニタリング |
| 便利だから | 研究成果の創出に直結する環境整備 |
そのまま使える理由書テンプレート
第3章:失敗しないモニターアーム選定ガイド
研究費は国民の税金を原資としているため、購入物品には「説明責任」に耐えうる耐久性とコストパフォーマンスが求められます。以下の3つの選定基準を押さえておきましょう。
研究室向け選定基準の3つのポイント
- 耐久性と保証:予算は毎年つくとは限りません。「一度買ったら10年は使う」覚悟が必要。10年保証製品が推奨。
- 設置の柔軟性:大学のデスクは古いスチールデスクや備え付けの特殊な机が多い。クランプ式が基本。グロメット式は穴あけ許可が必要なため避けるべき。
- 耐荷重:将来的な4Kモニターやウルトラワイドモニターへの対応を考慮。余裕を持ったスペック選定が長期的コスパに直結。
推奨製品比較
- 耐荷重 3.1〜11.3kg
- VESA対応 75×75 / 100×100
- 保証期間 10年
- 耐久試験 10,000サイクル
業界標準・10年保証・Constant Force™技術
価格が若干高め
- 耐荷重 2.3〜11.3kg
- VESA対応 75×75 / 100×100
- 保証期間 1年
- 備考 Ergotron OEM説あり
コスパ最強・構造はLXに酷似
保証1年・長期耐久性は未知数
- 予算に余裕がある場合:Ergotron LX(10年保証で説明責任を果たしやすい)
- 予算が限られる場合:Amazonベーシック(複数台導入時のコスト削減に有効)
- 若手研究者・スタートアップ支援:Amazonベーシックで初期投資を抑える戦略も合理的
VESA規格の確認方法
モニターアームを取り付けるには、モニター背面にVESAマウント穴が必要です。購入前に必ず確認してください。
| VESA規格 | 穴の間隔 | 対応モニターサイズ |
|---|---|---|
| VESA 75×75 | 75mm | 〜24インチ程度 |
| VESA 100×100 | 100mm | 24〜32インチ程度 |
| VESA 200×200 | 200mm | 32インチ以上 |
一部の薄型モニターやiMacにはVESA穴がありません。購入前に必ずモニターの仕様を確認してください。別売りのVESAアダプターで対応できる場合もあります。
第4章:調達チャネル実務(Amazon Business/アスクル/生協)
製品選定が終われば、次は「どこから、どのように買うか」という調達プロセスの問題です。大学の会計システムは一般の個人購入とは異なり、「掛売(後払い)」「指定請求書」「見積・納品・請求書の3点セット」といった商慣習への対応が必須となります。
- 請求書払い(月締め)対応
- 見積書・納品書・請求書のPDF即時発行
- 法人価格(Business Price)適用
- 在庫豊富・配送が早い
- 大学のローカルルールに柔軟対応
- 年度末の納品・請求タイミング調整可
- 担当者と直接相談できる
- 大学専用割引あり(提携時)
- 校費払い(請求書払い)がスムーズ
- 立替不要で個人負担なし
- 大学のシステムに最適化
- 取り寄せ対応も可能
Amazon Businessの活用ポイント
- 見積書自動発行:注文確定前にPDFで即時発行。決裁権限者の事前承認を得やすい。
- ポイントの問題回避:法人アカウントではポイント付与をオフにする設定が可能。コンプライアンス上安全。
- 複数アカウント管理:研究室単位での購買管理が可能。
個人アカウントで購入して「立替払い」をする場合、ポイントの扱いが問題になることが多いです。ポイント分を差し引いて請求しないと横領とみなされるリスクがあります。多くの大学で立替払いは縮小・廃止の方向にあるため、法人アカウントの利用を推奨します。
調達ルート選定の戦略
| 状況 | 推奨チャネル | 理由 |
|---|---|---|
| 急ぎで必要 | Amazon Business | 在庫豊富・配送最速 |
| 年度末の予算消化 | アスクル / 生協 | 納品・請求日の調整が可能 |
| 高額物品(10万円前後) | 生協 / アスクル | 書類不備リスクを回避 |
| マイナー製品 | Amazon Business | 取り扱い品目が豊富 |
第5章:よくある質問(FAQ)
A. はい、購入可能です。単価が10万円未満であれば「消耗品」として処理できます。ただし、モニター本体と同時購入する場合は「一式」として合算される可能性があるため、別伝票・別日での発注を推奨します。
A. 「研究機能への貢献」を明確に記述することが重要です。「肩こり解消」ではなく「データ解析の効率化」「論文執筆における参照資料の同時表示」など、研究成果に直結する表現を使用してください。本記事のテンプレートをご活用ください。
A. 問題ありません。エルゴトロンは10,000サイクルの耐久試験をクリアしており、長期的なTCO(総所有コスト)が低いため、公費購入に適した選択肢です。10年保証付きモデルも多く、説明責任を果たしやすい製品です。
A. 多くの大学でAmazon Businessの利用が認められています。請求書払い(月締め)に対応しており、見積書・納品書・請求書のPDF発行が可能です。ただし、大学ごとにルールが異なるため、事前に事務局へ確認してください。
A. 「一体として機能する」と判断される場合、合算金額で備品判定される可能性があります。リスクを避けるため、モニター本体とアームは別伝票・別日で発注することを推奨します。
第6章:まとめ
- 単価が10万円未満であることを確認(消耗品扱い)
- モニター本体とは別伝票・別日で発注
- 購入理由書には「研究機能への貢献」を明記
- 耐久性を考慮しErgotron LXまたはAmazonベーシックを選定
- 調達チャネルはAmazon Business / アスクル / 生協から状況に応じて選択
- 事前に事務室へ確認(大学ごとのローカルルールあり)
- 手持ちモニターのVESA規格を確認
- 本記事のテンプレートを使って購入理由書を準備
- 事務室に調達ルートを確認
- 快適な研究環境を構築!
研究環境への投資は、贅沢品への支出ではありません。それは、研究者が持てる能力を最大限に発揮し、質の高い研究成果を持続的に生み出すための「基盤整備」です。本記事が、適正かつ迅速な調達の一助となり、ひいては日本の学術研究の発展に寄与することを願っています。